『東京を待ちながら』を読んで

顔合わせ初日、配役を発表する前に、役者陣に今回の上演戯曲『東京を待ちながら』を読んだ感想を聞いた。

そしてその純粋な感想を今更ながらにまとめた。

本当は正月のだらだらしている時間に皆様にだらだらこの記事を読んでもらいたかったのだが、私が「食べる・寝る・海外ドラマを見る」という行動の繰り返ししかしなかったため、その計画は崩れた。
そして、新宿演劇祭の公演2日前というこんな日にこの記事を書いている。

申し遅れましたが私は主宰の島氏ではなく、旗揚げから参加している役者の阿部です。

さて、早速だが、顔合わせ初日、今回この物語を創り上げる役者たちが何を言ってくれたのか、ご紹介いたしましょう。

役者Aの感想

・会話が下らねえな(笑)、でも謎の多い作品
・『東京を待ちながら(以下、トーマチ)』を読んだ後にゴドーを読んだ感想は「救いがない」
・それに比べると、トーマチはまだ18,9歳の若者の物語であり、東京に向かおうとしているから希望があるようにも思える

・こいつら死んでる? 現実逃避した先の妄想物語?

・ゴドーは人を待っているが、トーマチは場所を待っている。一応行動を起こそうとはしているのかも

役者B

・ゴドーは「暗い」「どうでもいい話」
・トーマチは「明るい」話な気がする。終わり方も。
・ちょっと銀河鉄道の夜っぽいよね、でもそれと違うものも感じる

・自分自身の将来についての期待が大きいよな~

役者C

・物語前半の会話部分に共感できる部分が多かった! ゴドーは共感できない…
・トーマチを読むと、ゴドーを大分理解できるようになった
・最後の主役二人の会話で全てが無になったと感じた

・主役二人の過去について自分なりの解釈をしてみたけど、これは観客個人個人で変わると思うから面白い

・何回か見ると更に解釈が変わりそう

役者D

・伏線が回収されていないことにより、想像の余地が広がり面白いなと思う
・でもお客さんにとっては舞台公演は一度きり(何回も観に来る場合は除くが)だから、この話の伝いたいことを伝えられるのかはちょっと不安
・時間の概念が払拭されている感じがする

・未来とか過去とかどうでもよくて、今この場が全てなのではないかと感じた

こうして改めて顔合わせ初日に抱いていた戯曲への感想を読んでみると、私達は随分と遠いところまで来たんだなと感じる。

今回の作品は、ただただ人間が喋っている会話劇。だから、人物や環境、背景について皆で考察をし、あれこれ言い合いながら稽古は進んでいった。

だから、初日に抱いた純粋な戯曲への想いのままの我々ではなく、もっとたくさんの想いを抱えた俳優陣が舞台に立っている。

そんな我々が創りだす物語の世界を、舞台を観に来てくれる皆様が、また純粋な感想を抱いてくれるのが今から楽しみな今日この頃である。

ちなみに、私、阿部沙也加が顔合わせ初日に言った感想としましては、

旗揚げ公演に続いてこの脚本。劇団の作風が決定づけられるものだなと思った。
劇としては終わるけど世界は終わらないという終わり方。どんなことがあろうと世界は続いていく様が、カフカのとある物語を思わせた。

こんなところでございました。

しかし私は島氏の第一稿を読んでしまっているので純粋な感想ではございません。どろん。


阿部沙也加


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